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耐震等級3の徹底解説。 杉並区の家づくりで後悔しないために知っておきたいこと

 

トルコ・シリアで発生した大震災のニュース番組がまだ記憶に新しいところですが、日本でも各地において
近年大きな地震が増えたと感じてる方も多いのではないでしょうか。
東北や熊本の度重なる大きな地震も記憶に新しく、いつまで続くのか・・・という気持ちと同時に、
発生の度に被害が大きくならないことを願うばかりです。
因みに日本が地震の多い国であるとの認識は大勢の方がお持ちかと思いますがデータで見ると
良く理解できます。

地震大国といわれる日本の面積が世界の中で国土として
占める割合は
たった0.28%ほどの小さな数字ですが、
なんと世界で起こる大地震が日本で起こる比率は全体で10~15%、
マグニチュード6以上の地震に限っていえば20%にもなるということです。

発生割合でみれば日本が地震大国であることは明白です。

その日本の国土の中で住宅や建物が数多く新築されているわけですが、
そこに携わる者として
ご相談を受けながら感じることは、
建て主の方々がこれから建築を予定している住宅の耐震性
について
関心はあるものの、その重要性や関心度合の高さは曖昧になっている可能性を

否定できないという状況です。
専門の設計者や業者が建築するのだから耐震性能もしっかりしているはずとか、
建築確認通知書が取れているのだから耐震性も大丈夫なはず・・・など、
根拠としては
必ずしも正解とは言えない認識による安心感に
なっているでは?という印象です。

 

杉並区を中心としたエリアで注文住宅のお手伝いをしているアイコーホームでは、
初めてお客様よりご相談いただいた時から、壁の中に隠れる構造部分だからこそ、
大切なご家族を守るためにも住宅は耐震等級3を基準として許容応力度計算で確認し建築してください
とお話させていただいております。
少々専門的になってきたので、もう少し細かくお伝えさせていただきます。

首都直下震災や南海トラフ地震などの発生が迫っていると言われる状況の中、
耐震等級という言葉を耳にすることが増えてきました。
マイホームを計画する時にもホームページやカタログなどで耐震等級3などのワードが目を引くかと思います。
当初、建築基準法をクリアしていれば大丈夫との認識も、被災地の様子を目にすることで、
少しづつ「自分の家は本当に大丈夫?」と疑問や不安を持つ方も増えており、
耐震強度への理解も深まってきたと思います。
耐震等級3の住宅ならどれくらい安心して住むことができるのか、具体的に解説させていただきます。

 

耐震等級とは

  大地震発生時における住宅などの耐震性能を表す基準に「耐震等級」と呼ばれるものがあります。
  耐震等級は「住宅性能表示制度」にて定められた基準で、等級1から等級3まで3段階のランクが付けられています。
  ランクの数字が大きな等級ほど耐震強度も高くなり。最高等級は3になります。
  その内容については以下のように定められています。
 

 

耐震等級1:建築基準法の中で定められており、最低限保つべき耐震性能の基準で、新耐震基準とも呼ばれています。
                  基準の内容としては以下のとおりとなっています。
                  数十年に1度程度発生する地震力(震度5強程度の中規模地震)に対して著しい損傷を生じない(損傷防止)
                  数百年に1度程度発生する地震力(震度6強~7程度の大規模地震)に対して倒壊や崩壊をしない(倒壊等防止)

      震度6強~7の大規模地震といえば、近年でいえば阪神淡路大震災や熊本地震などが
      強く印象に残っているかと思いますが、
1981年6月に改正された新耐震基準に
      より建てられた建物は、評価をするしないに関わらず、
耐震等級1レベルの耐震強度を満たすことが必要です。

      また、大規模地震を経験するごとに耐震基準は改められ、より高いレベルに改正されてきた経緯も
      
知っておくべきです。但し、ここで注目すべきは、震度6強から7の大地震では、倒壊・崩壊を
      しないとの基準なので、
建物が傾いたり、一部損傷することは許容されていることです。
      実際に熊本地震の視察でも斜めに傾いたり損傷した家が数多く見られ、
      その後に住み続けられるような状態ではありませんでした。

      建物が倒壊し人命にかかわることがなくなるように定められた基準ですので
      あくまで最低限守るべき基準であると言えます。

耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の地震力に耐えられる耐震強度の基準です。
                耐力壁等の量を増やすなどを行い、更に耐震強度を高めることを指します。
                災害が発生した時に避難場所として指定される建物(学校等の公共施設)では
                耐震等級2以上の強度が必須とされており、
                又、長期優良住宅での新築工事は、耐震等級2以上の認定が求められています。

耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の地震力に耐えられる耐震強度の基準です。
                耐震等級(3段階)の中では最高レベルであり、より大地震や大きな余震を受けた時の安全性が高まります。
               災害が発生した時に救護活動や災害復興の拠点となる警察署や消防署などは、多くが耐震等級3にて建設されており、
               熊本地震では震度7程度の地震が2度発生しましたが、多くの建物が被害を受ける中、
               耐震等級3の住宅は地震に耐えていたことがその後の専門家の調査により明らかにされています。

 

 

耐震等級3の安心住宅を建てるポイント

  耐震強度を向上させるためには、主に以下のような項目での検討・確認が必要です。
  耐震等級3の住宅を建てる場合には、壁倍率や耐力壁量など構造計算をして確認をする必要があります。
  建築基準法における耐震等級1については、建物の重さや見付け面積により、耐力壁の量(数)や配置のバランス、
  そして材料の接合部分における構造金物などの強さをチェックすることが求められています。

  さらに等級2や等級3においては、壁を支える床の強度についても検討・確認が必要となります。
  その中で、建物の耐震強度に影響すると考えられているポイントを以下に簡単に解説いたします。

  ポイント1 重量の軽い建物が有利

        重い建物と軽い建物では地震の時に違いがあるの?と思われるかと思いますが、
        同じ地震力を受けた時の揺れ方は重い建物の方が大きくなります。
        軽い建物ほど振幅が小さくなるので、耐震強度的には有利になります。
        また屋根に思い瓦な太陽光パネルなどを乗せる場合にも、耐震強度には注意する必要があります。

  ポイント2 必要な耐力壁・耐震金物をバランス良く設置する

        地震の時に建物を支える大切な部分として耐力壁と呼ばれる壁があります。
        建物は壁に囲まれていますが、その中でも通常の壁とは違い、
        耐力壁には筋交いや高耐震パネルなどが設置され耐震強度を高めます。
        この耐力壁の量が多ければ多いほど耐震強度は高くなり、結果として耐震等級も上がることになります。

        但し、耐力壁は、建物にバランス良く配置する必要があります。
        バランスが崩れ、例えば建物の奥と手前で量が大きく違うと、
        少ない部分から崩れてしまう可能性が出てきます。

        耐力壁のみではなく、耐震金物などを含めて、偏りのないように
        最適なバランスで配置することが大切です。

  ポイント3 床の耐震強度を確保する

        壁だけでなく、床についても耐震強度を高める大切なポイントのひとつです。
        先のご案内したとおり耐震等級が2ないし3になると、この床の強度についても検討・確認がされます。
        箱のフタをイメージしていただくとわかり易いですが、縦の壁部分だけが強くても、
        平らな上面のフタ部分が柔らかなものだった場合、そのフタは弱いものになってしまいます。
        1階及び2階の耐力壁がそれぞれ固い水平面に固定されることで、
        立体としての強度が高まることになります。

  ポイント4 地盤調査による適切な基礎工事

        敷地の建物が建つ部分については、地盤調査が行い、地盤の強度を確認します。
        建物が頑強であっても地盤が軟弱であれば、不同沈下や液状化が起こるだけでなく、
        地震を受けた時の揺れ幅が大きくなり損傷が大きくなってしまう可能性があります。
        地盤調査結果に基づく適切な基礎工事はもちろんのこと、
        揺れが大きくなるような地盤の場合にはそのことを加味した構造設計が必要になります。

  以上のような観点で検討・確認することが大切ですが、最後に防蟻処置や雨水の侵入を防ぐなど
  劣化対策についてもポイントのひとつと言えるでしょう。

 

 

耐震等級3の安心住宅を確認する方法

  耐震強度とは少し話がズレますが、木造住宅の構造安全性の検討方法をしては以下のとおり3種類の方法があります。
  その方法によって同じ等級であっても実際の耐震強度に差が発生することもあり、検討方法への理解及び確認が必要です。

 

  a.許容応力度計算
        建物の荷重(固定・積載・積雪等)から重量を算出し、詳細な構造計算により
        建物に作用する地震力を算出しそれに抵抗できるだけの許容応力・耐力壁量を確認します。

  b.品確法の住宅性能表示制度における耐震等級設計
        各階の床面積などに特定の数値を掛けて必要な耐力壁量を算出しますが、
        建築基準法の仕様規定より詳細な計算になります。

  c.建築基準法の仕様規定
        品格法と同じように各階の床面積などに特定の数値を掛けて必要な耐力壁量を算出しますが、
        仕様規定では簡易的な設計なので、他の2種類とは異なり考慮しない部分が増えてきます。

  以上のように確認を行う計算内容が異なることで、実際の耐力壁量には差が出てきます。
  許容応力度計算>住宅性能表示計算>仕様規定という順番で、やはり詳細な許容応力度計算による場合が
  一番耐力壁の量が多くなり、当然ながら耐震強度も高くなります。

  建築確認や性能評価においては、どの計算方法を用いても認められるため、
  計算方法によって耐震強度に差が生まれることがあり、制度上の問題とはなりません。
  さらにいえば小規模な建物に認められる4号特例においては、仕様規定による検討・確認は必要でも
  確認申請での提出が不要となるため、構造計算をしなくても良いという誤解をしている
  設計者がいると耳にすることもあります。

  どの計算方法によるとに関わらず、どのように構造強度の検討・確認が行われるのかチェックする必要があります。

 

 

耐震等級3相当との違いはどういうこと?

  耐震等級3で住宅を検討し始めると、広告やパンフレットに耐震等級3と耐震等級3相当という
  2種類の用語があることに気づかれた方もいるのではないでしょうか。
  耐震等級3相当とは、特に定められた規定が無い為、各社の判断により使われていますが、
  住宅性能評価機関への認定申は行っていないが、耐震等級3と同等の耐震強度を
  確認しているという意味が一般的かと思います。

  もちろんその確認計算方法も3種類のうちどの方法を利用しているかということによる差もありますが、
  公的な機関の認定が必要な場合には、別途費用も掛かると思われますが、必要に応じて申請する必要があります。

 

 

耐震等級3の疑問 あとからでも? 認定は?

  耐震等級3の住宅を確認する、又は、認定を取得するのには、許容応力度計算などにより詳細な
  構造計算で確認する場合には別途計算料がかかったり、認定の取得の為にも費用はかかります。
  申請費用の相場は以下のとおりですが、事前に依頼先の会社へ確認してください。

  許容応力度計算費用:約20万円
  性能表示制度の計算費用:約10万円 と一般的に言われています。
  さらに建築費用にもコストがかかりますので、40~50万円程度の料金になると一般的に言われています。

 

 

耐震等級3のメリット

  耐震等級3で新築する最大のメリットは、大地震の時に住宅が頑強に耐えることができるということは勿論ですが、
  その他にも制度上のメリットがいくつかあります。

 

  イ.住宅を新築する時には火災保険と地震保険を同時に加入する方も多く見られます。
    耐震等級を高くすることで、その保険料に適用される割引率が50%程度と大きくなるメリットがあります。
    検討をされている方は、事前に保険会社への確認をしてみると良いでしょう。

  ロ.フラット35の金利引き下げプランが利用できる
        住宅ローンをご利用される場合には、長期固定金利のフラット35の中で
        最もお得なプラン{フラット35Sの金利Aプラン」が利用できます。
        通常のフラット35に対し、フラット35Sの金利Aプランでは
        借入からの10年間の金利引き下げを受けることができます。

 

 

耐震等級3のデメリット

  前段にも解説していますが、耐震等級を上げることにより耐力壁量などの増加や構造計算料など
  種々のコストが増える可能性が上げられます。
  また必要とされる耐力壁量を確保するためには、窓の大きさやヶ所数を含め設計プランニングなどにも
  一部制限が出てくる可能性もあります。設計を担当する専門家と事前に良く打合せをすることが必要です。

 

 

耐震等級だけでない構造ポイント

  耐震等級3を構造計算で確認すれば耐震強度の強い住宅をつくることができますが、
  その他にもぜひ検討しておいた方が良い点があります。それは直下率といい、
  この直下率が低い場合に地震力が下階に伝わりにくく、建物が大きく変形し倒壊してしまう
  可能性があることを専門家が指摘しています。

  つまり総二階のシンプルな外形の方が耐震強度的には有利であり、更に長期の耐震性を考えた時に、
  複雑な構成をした建物だと材料の経年劣化により影響を与える可能性を考え、
  当社独自の基準として柱及び耐力壁の直下率を60%以上とするとしています。

以上、専門的で目に見えにくい耐震強度の話しではありますが、大きな地震を受けても
住み続けられる家を目指して、アイコーホームは全棟、許容応力度計算による耐震等級3の確認を行い建築しています。

会社名:株式会社アイコーホーム
住 所:〒168-0072 東京都杉並区高井戸東3-6-3
電 話:03-3334-0334

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